トップへ戻る

■ 台湾で日本語を教える!
目次(ジャンプしません)
  ■1.台湾の日本語教育
     日本語の需要     学校での日本語教育  民間の日本語学校
     必要な資格・要件   教師の口の探し方    教授法
     待遇など        台湾にある日本語の教材
  ■2.台湾の生活
     通貨           アパート          交通
     物価           食べ物・飲み物      テレビ
     インターネット      中国語の学習      運転免許
     電源           トイレ
  ■3.台湾事情について
     台湾の歴史      台湾と中国大陸      台湾の言語事情
1 なかむら なおたか

Naotaka Nakamura
http://www2.odn.ne.jp/kyouannohiroba1/
  「教案の広場」 (みんなの日本語の教案を公開しています)

中村 直孝  1973年広島 生まれ
千駄ヶ谷日本語研究所 日本語教師養成講座修了
1998年より東京の日本語学校で日本語教師を始め、現在台湾の南投YMCA日本語教師。私立南開技術学院非常勤講師 など

1.台湾の日本語教育

 日本ではそれほど意識されていませんが、日本と台湾は非常に強く深い結びつきがあり、台湾と日本の間では観光や貿易など、人や物の行き来はかなり頻繁に行われています。日本語学習者も多く、たくさんの日本人日本語教師が台湾で教えています。海外で日本語を教えたいと考えている人なら、台湾は一度は考えてみる所ではないでしょうか。
 ここではわたしの経験を元に、台湾へ日本語教師として赴任するのに必要な情報をお知らせしたいと思います。

 日本語の需要
 日本のドラマ、音楽、芸能、ファッションはとても人気があります。特に日本のこうした文化が熱狂的に好きな若い人は「哈日族(ハーズーズー)」と呼ばれていて、台湾の若者文化の欠かせない一部となっています。好きな日本の曲の歌詞の意味を知りたくなったり、ドラマの日本語に興味を持ったりして、日本語の勉強を始めるという人も多くいます。
 (哈日族の若者は日本のファッションや音楽が好きなのであって、必ずしも日本語が好きなわけではありませんが、、)
 台湾のビジネスの世界では日本語が不可欠です。台湾の国別貿易取引高では日本は全体の2割ほどを占め、アメリカについで僅差で第二位です。日本の会社との取引が多ければ、当然日本語教育の需要も発生します。英語ができる人に比べ日本語ができる人は少なく、日本語ができるほうが収入がいいという話も聞いたことがあります。
 こうした日本語と接する機会が多いことや、ビジネスで必要とされていることから台湾ではこれからも日本語教育はある程度、安定した需要があると考えられます。もちろん、言語の需要としては、ここ台湾でも英語の強さには到底かないませんが、日本語熱も急に冷え込むことはないようです。

●交流協会台北事務所日本語センター ( http://www.japan-taipei.org.tw/tw/language/index.htm )
  交流協会(実質的な日本大使館)の日本語センターのサイトです。
  台湾での日本語教育のレポートなどがあります。

 学校での日本語教育
 ここ台湾でも少子化を迎え、大学などの高等教育機関は生き残りをかけて規模の拡大や質の改善に取り組んでいます。日本語の学科や学部の新設や拡大も相次いでおり、当然日本語の教員の募集も増えています。博士号や修士号を持っている方は一度募集を調べてみる価値ありです。
 また、高校などの中等教育機関でも第二外国語を教えるところが多くなり、ドイツ語やフランス語などより親しみやすい日本語は当然人気があります。中等教育の日本語教師は慢性的に不足しているそうなのですが、高校で日本語を教える場合、ビザの発行はできないそうで、今のところ台湾人と結婚したなどの場合を除き、日本人の日本語教師にはあまり縁がありません。しかし、潜在的な需要として注目しておくべきでしょう。

 民間の日本語学校
 台湾は日本より国際社会ですし、教育熱心な国なので、言葉を習うということに対してかなり熱心です。多くの民間語学学校があり、中には幼児のころから英語や日本語を教えるというところもあるくらいです。日本語専門でやっているところもありますが、英語学校が主で、それに日本語学校が付属しているというところが多く、名前は「〜美日語」とか「〜英日語」というのが多いです。(「美」というのはアメリカのことです。)
 よく見たり聞いたりするのは「地球村」「HESS(何嘉仁國際教育學院)」「永漢」「YMCA」「早稲田日語」などでしょうか。「地球村」は日本の「イーオン」とか「ジオス」のような感じで台湾各地の駅前にあります。「永漢」は最近、企業に人気があるらしいです。「YMCA」には後述するOSCYプログラムの先生が多く派遣されています。
 また、有名私立大学は都市部に「夜間推廣部」(大学公開講座のようなもの)を設けているところが多く、そこでも日本語講座が開かれているようです。

 民間日本語学校の教師の中には語学の知識や、教授法などの教育を受けていない人も多く、学校によってはまったくの素人だけの学校もあるようです。台湾へ日本語を教えに来る人はむしろ少数派で、結婚や留学などで台湾へ来て日本語教師を始める人のほうが多いのが現状です。

 必要な資格・要件
 日本国籍の人が台湾で働こうと思ったら、当然就労ビザ(工作簽証)が必要になります。一般には、就労ビザを取得するのに4年制大学の卒業、および当該業務2年の実務経験が最低限必要とされています。日本語教師の場合、日本語教育能力検定を持っていたり420時間を修了していたらこの2年の実務経験のところは免除されたりする場合があるようですが、どうも地方によって違ったり、学校の申請方法によって変わったりするみたいなので応募する学校に直接問い合わせてください。ただ、4年制大学の卒業というのはどんな場合でも絶対必要です。

 大学などの高等教育の場合、すくなくとも修士以上の学位がなければ募集の対象にもなりません。多くの大学で博士号を持っている人を探しているそうですが、該当する分野の博士が少なく、中には全く関係ない分野の博士が採用されることもあるそうです。

 民間の語学学校の場合、日本の日本語学校のように日振協などの審査はありませんので、教育能力試験を取っておかなければいけないなどの絶対的条件はありません。しかし、ちゃんとした学校は当然、学歴・教育能力試験・420時間の講習・経験などをちゃんと見ます。ビザのことも絡んでくるので、募集の時に条件として示しているところがほとんどでしょう。
 また、中国語能力や生活能力も重要な要素になります。日本語を教えるときに中国語を媒介語にできるということがありますし、それに、学校としては教師の世話をこまごまとしたくないというのが本音ですから、生活は自分ひとりでなんとかできるような人が求められます。以前こちらで留学していたとか、すでにここに住んでいるというのはやはり有利になります。
 逆に、すでにこちらに住んでいる人は特に資格、経験がなくても学校によって割と簡単に日本語教師のアルバイトができる学校もあります。(かなり大手の学校です。) ただ、時給も安いですし(300元/時間〜)、安定したものではありませんから、これを本職にするのはちょっと無理があると思いますが、台湾にいる日本人留学生や比較的時間のあるサラリーマンなどにはちょうどいいかもしれません。

 先ほども言ったとおり、民間の語学学校の場合はビザの問題を除いて絶対的な条件はありません。中国語に関しても、中国語能力をあまり問わない学校もあります。あきらめないで根気よく探してみてください。
 (実はこの私も台湾に来るまで中国語はほとんどわからない状態でした。)

 教師の口の探し方
 日本国内では、日本の日本語学校と同じように、日本語オンライン、アルクなどの日本語教育関連のホームページの求人情報、または凡人社などの書店の求人広告で情報収集することができます。養成講座で就職情報を得られることもあるでしょう。しかし、これらはあくまでも「活字」の情報に過ぎませんから、トラブルを避けるために台湾に来て、職探しをすることを強くお勧めします。また、とりあえずこちらに来て教えながら、もっと条件のいい所、自分に合った学校を探すという手もあります。台湾では転職はごく普通のことですし、いやな思いをしながら任期をまっとうする必要はありません。

  YMCAのオスキー(OSCY)プログラム

 給料がもらえて、台湾に派遣されるプログラムはたぶんこのYMCAのオスキーだけではないでしょうか。個人で就職するより比較的安心と言えば安心です。実はわたしもこのプログラムで台湾に来て、南投YMCAで働いています。(2000年派遣)
 台湾のYMCAでの需要、要望にしたがって、日本のYMCAで面接、採用を行い、台湾各地のYMCAに派遣されます。資格、応募期間などは直接日本のYMCAに問い合わせて確認してください。提出書類の審査、面接があり、合格者は1,2回の研修などの後、台湾に派遣されます。
 わたしの時の面接では「日本語と、英語と、中国語で自己紹介してください」から始まりました。自己紹介などはボロボロでしたが、面接官の笑いを取ろうと努力したり(あまり笑ってくれませんでしたが、、、)どんな環境でも大丈夫だということをアピールしたところ、なんとか採用してもらえました。競争率などはよくわかりませんが、採用された人をみると、日本語学校での経験があるか、もしくは英語か中国語ができる人がほとんどです。でも、中には当てはまらない人もいましたので、自分のアピールできるところを探して、諦めないで応募してみてください。

 待遇など
 こちらでは給料の額を聞くのは日本のように失礼なことではないそうで、学生からもよく給料の額を聞かれます。教師の性(さが)で思わず
「23,400元(2000年度YMCAオスキーの給与。一ヶ月60時間)です、、、」
 と正直に答えると、学生にとっては意外らしくいつも「安いですねー」と言われて、どう対応すればいいのか困ってしまうことがよくあります。実際、この金額では贅沢な生活はちょっとできそうもありません。しかし、かといってこの金額で生活を切り詰めなければならないということもないと思います。
 いままでの日本語教師の募集を見ると、給与は専任で1万5千元〜4万元と結構幅があります。ほかの条件もありますし、地方によって物価(特に家賃)が違いますから金額だけで単純比較はできませんが、さすがに1万5千元で、しかもそこから住居費を払わなければならないとなると、ちょっと生活は苦しいかと思います。もっとも、有料の体験プログラムよりはましと考えて行くのならいいかもしれませんが。
 民間日本語学校の非常勤の時給は300元〜500元ぐらいが相場のようです。
 ちなみに修士号取得者が大学、学院、専科学校で教える場合、月6万元前後くらいだそうです。(アルク「海外の日本語教育事情」台湾より)
 参考までに台湾人の一般的な給与は下記の通りです。

       台湾の男女の平均月給    (1999年、単位NTドル)

  男性 女性
企業管理職、部長クラス 60,202 52,069
専門職 53,486 39,276
技術職、専門職アシスタント 41,118 31,683
事務職 35,115 25,854
サービス業、販売員 32,833 21,011
農林水産業 24,703 14,670
工場労働者、肉体労働者 31,439

19,716

(埼玉県戸田市友好都市交流協会 国際理解講座『台湾のいま』(黄 東生)の資料より引用)

  健康保険、労働保険などについても学校で手続きをしてくれるのかどうか、保険料はどのくらいなのか、事前に確認しておくべきでしょう。(保険料率などは日本のものと大差ないように思います。)
 所得税についてですが外国人は特別な税率を適用されます。就労期間が半年未満なら20%の税率が適用され、それ以上になると13%もしくは6%の税率(わたしの場合は6%です。)が適用されます。(長期の場合でも、最初の半年間は20%が徴収される場合があります。差額分は後になって戻ってきます)税率なども事前に学校に確認しておいたほうがいいでしょう。

 教授法
 初級は中国語を媒体とする間接法で、文法積み上げ式による教授法がほとんどです。責任者が年配の方だったりすると国文法(五段動詞の連用形+「ます」 といった感じの教え方)による文法説明をしているところも未だにあるそうです。
 台湾に来て教授法についてさらに磨きをかけたいと考えている方は、交流協会日本語センターで日本語教授法の講座なども開催していますし、日本語教育に関する学会などもありますので興味のある方は参加してみてはどうでしょうか。

●交流協会台北事務所日本語センター ( http://www.japan-taipei.org.tw/tw/language/index.htm )
  交流協会の日本語センターのサイトです。
●中華民国日本語文学学会( http://www.scu.edu.tw/japanese/TJP-ROC.htm )

 台湾にある日本語の教材
 日本のメジャーな教材はだいたい台湾の書店にも揃っていると言っていいでしょう。
 たとえば「みんなの日本語」シリーズ(こちらでは「大家的日本語」)は「教え方の手引き」も含めて、日本で発売されているものはほぼ全部出版されています。「大家的日本語CD−ROM」(繁体字ウインドウズ対応)など日本にはないものも発売されていたりもします。ただし、「絵教材」はありませんので使いたいと思っている人は日本から持ってこなければなりません。
 日本で編集された教材は8,9割方「大新書局」という出版社が版権を取って出版されています。どんな本があるか詳しくは大新書局のホームページで調べてみてください。

大新書局( http://www.dahhsin.com.tw/ )(繁体字中国語 Big5)
トップページ→「圖書査詢」または「新書情報」で出版されている図書が調べられます

 

2.台湾の生活

 通貨
 まず、台湾の通貨は「元(圓)」です。日本語では新台湾ドル(NT$ New Taiwan dollar)とか、台湾元と呼ばれています。
 レートは2001年9月現在で、1日本円=0.296台湾元 1台湾元=3.37日本円です。
 普通、台湾元は日本の銀行では両替できません。台湾に来てから空港の銀行で両替してください。シティバンクなど日本円の口座から現地通貨で引き出すことのできるキャッシュカードなどを持っていたら便利かもしれません。
 銀行口座はパスポートがあれば開くことができます。(場所によっては居留証が必要なところもあります)ATMは24時間開いていて、他の金融機関のATMを使う場合、手数料は一回7元です。

 アパート
 日本語学校で既にアパートや寮を用意してくれていることもありますが、そうでない場合は自分で探さなければなりません。予算はもちろん場所やグレード、広さによりますが、台北なら1万元弱と見ておけば大丈夫でしょう。敷金は1ヶ月分くらいが相場で、礼金はありません。契約期間は6ヶ月が一般的です。
 アパートが見つかるまで、ユースホステルやドミトリーなどの安宿に何日か泊まって、自分で家捜しをすることになると思いますが、赤い張り紙(紅條子 ホンティアオズ)を見て探したり、インターネットで調べたりすればそんなに難しくないはずです。(ある程度中国語ができるか友達に助けてもらえるというのが前提ですが)外国人の場合、ルームメートを求める広告も多くあります。
 また、中国語が駄目なら、台北には日本語が使える不動産屋がありますのでそちらを活用するのもいいでしょう。不動産の手数料は家賃の一ヶ月分くらいほどです。
 詳しい情報は下記のサイトを参考にしてください。

●TaiwanHP ( http://members.aol.com/thidelou/hidelouHP/index.htm )
  台湾へ語学留学する人向けのサイトです。 生活 → 家探し 
スターツ(不動産屋)( http://www.starts.co.jp/taiwan/ )
  日本資本の不動産屋のサイトです。台北の住宅事情などの紹介するページもあります。

 交通
 台湾の町はどこにいってもスクーターがうようよ走っています。道路を歩くときは、車、特にスクーターに気をつけながら歩いてください。
 台北とその周辺の交通手段としては「捷運(ジエユン)」やMRTと呼ばれる地下鉄があります。「捷運(ジエユン)」がない地域の交通手段はやっぱりバスです。台北市内のバスは一区間12元で、プリペイドカードなども利用できます。バスの路線が不便なところや地方都市ではやっぱりスクーターがあればとても便利です。

 長距離移動の場合、鉄道もありますが、長・中距離バスのほうが安価でしかも快適なので、長距離移動する場合でもバスがよく使われます。ただ、私企業のバスはちょっとややこしいので、なれないうちは電車のほうを利用したほうがいいかもしれません。

  物価
 日本と比べると物価は安いです。日本の1/3から2/3くらいの感覚でしょうか。
 特に食料、交通費など生活に絶対欠かせないものは安いです。小吃(シャオツー 屋台もしくは小さい定食屋)がたくさんあって外食しても非常に安く済みます。
 衣料、靴などは一概に言えませんが、わたしの感覚では日本の半分くらいです。
 それから、日本語の教科書も安いです。日本で2,3千円する教科書がこちらでは200元、300元くらい(660円〜990円)です。
  <※台湾の教科書を日本で使用したり、販売することは禁止されています。>
 ちなみに台湾にはあの計算の面倒な消費税はありません。
 台湾で売られているものの大体の値段を書いてみましたので、参考にしてください。

単位 <台湾元> (台湾元×3.3=日本円)2001年9月

日本式ラーメン 50〜70
缶ビール 27〜
弁当 類 80ほど
缶ジュース 20〜35
チャーハン 類 70ほど
カラオケ1人1時間 〜150
蒸し餃子 40〜
パブのドリンク一杯 200〜
北京ダック 350〜
CD(台湾製品) 〜350
マクドナルドセット 100〜
英字新聞 15

 食べ物・飲み物
 「食の中華」というだけあって、台湾は豊かな食文化を持っています。ぐるぐるとテーブルの台が回る正式な中華料理の店ももちろんたくさんありますが、日常の生活では街のいたるところにある「小吃(シャオツー)」と呼ばれる小さな店で、実にさまざまな料理を非常に安く買うことができます。蒸し餃子、水餃子、チャーハン類、麺類、弁当、豆花(トーファ)、饅頭、野菜炒め、、、、、中にはたこ焼き、お好み焼きなど日本のものも売っているところもあります。
 味付けは日本の物より、全体的に油っぽい感じがします。でも、たとえ台湾の味になれなくても選択肢はたくさんありますし、日本のものもたくさんありますので、味が特に問題になることはないでしょう。

 台湾の街角には必ず、飲料をその場で作ってくれる店があります。15元〜35元くらいと安いですし、新鮮でおいしいのでとても重宝します。蜂蜜レモン、新鮮果汁、その他の果汁類、アイスティー、アイスミルクティー、紅茶、コーヒーなどがあります。日本にはあまりない「珍珠(ゼンジュー)」というツブツブが入った飲み物などもありますから、ぜひ台湾に来たら試してください。

 コンビニ
 台湾でも日本と同じくらいかそれ以上にコンビニが普及していますので、一人暮らしの人には便利でしょう。品揃えはだいたい同じです。おでん、おにぎりも売っていますし、違うところといえば、漫画が立ち読みできないくらいでしょうか。ファミリーマート、セブンイレブン、サークルKなど日本でもお馴染みのコンビニが多いです。

 テレビ
 台湾はケーブルテレビが普及していて、全部でだいたい50チャンネルほどあります。海外向けに編集されたNHK(中国語字幕なし)と、日本のドラマ、バラエティーなどを専門に放送するチャンネル(中国語字幕あり)が3つあります。「学校へ行こう」とか「ミュージックステーション」なども放送されています。その他のチャンネルでも時々日本のドラマをやっています。

 インターネット
 海外にいるとインターネットは非常に重宝します。というより、海外に住むのにインターネットは必需品でしょう。インターネット電話を利用したり、Eメールで連絡したり、授業に使う素材をホームページから入手することができます。こちらでは中華電信(日本のNTTに相当)のHINETやSEEDNETなどのプロバイダーが有名です。HINETの場合、居留証を中華電信にもっていけば手続きができます。基本料金は1ヶ月100元からです。モデムは日本国内で使っているものがだいたいそのまま使えるようです。(ただし、保証はできません)

 中国語の学習
 生活や仕事のために、日本語を教えながら中国語を勉強したいと考えている人もいると思いますので中国語の学校を紹介しておきます。師範大学国語中心、TLI(中華語文研修所)、CEC(華文會語文教育中心)などが有名です。仕事しながら勉強するとなると時間のやりくりが大変ですが、個人レッスンならこちらの時間に合わせて勉強することができます。
 料金は例えばTLIの場合、個人レッスンが380元/時間、2〜4人までのグループレッスンが220元/時間、5人以上のクラスレッスンなら150元/時間(詳しくは直接問い合わせてください)です。TLIは台中や高雄にも分校があります。

●中華民国台湾へようこそ 中国語研修センター一覧(http://www.roc-taiwan.or.jp/study/study2.html
   中華民国の公式台湾紹介サイトです。
●なんちゃって台北 ( http://www.es-asia.com/taipei/ )
   台北の街情報サイトです。 トップページ → 語学学校情報
●All About Japan ( http://allabout.co.jp/travel/traveltaiwan/subject/msub_study.htm )
   情報提供サイトです。語学学校へのリンクなど。他にもいろいろな台湾情報があります。

 運転免許
 台湾では日本の国際免許は使えません。また、日本の免許の書き換えもできません。こちらでバイクや車を運転する予定の方は台湾で免許を取る必要があります。けっこう無免許で運転している日本人もいますが、もちろん事故をしたときなどには不利になりますから、お勧めできません。50ccのバイク免許は筆記試験のみで、台北なら日本語の試験問題もあります。大型バイク(〜150cc)でも実技試験はそんなに難しくありませんので、運転する人は免許を取っておきましょう。

 電気
 電源は110V 60Hzです。普通、電気製品は設計段階で10%ほどの電圧の変動は許容範囲にしてあるそうで、日本の家電製品もアダプターなしで、ほぼそのまま使えます。(でも、保証はできませんよ)ただ、通話音の違いなどから、日本の電話機、ファックスなどは使えないこともあります。
 ノートパソコンなどの電源アダプターはたいてい100V〜220Vで使えるようになっているようです。電源アダプターのところに必ず書いてありますので、ご自分で確認してください。

 トイレ
 台湾のトイレは水洗で日本のものとほとんど同じですが、ちょっと違うのはトイレットペーパーを流してはいけないということです。男性用トイレでも必ずごみ箱が置いてあるので、そこに捨ててください。管が細く、トイレットペーパーを流すと詰まりやすいからだそうです。

 

3.台湾事情について

 突然ですが、どうして台湾には日本の大使館がないのでしょうか。どうして日本で出版されている地図の台湾のところには大陸の中国とは違う色を塗られているのに、「中華民国」という表記がないのでしょうか。
 台湾で日本語教師をしたいと考えている方なら、この辺の事情はよく分かっておく必要があるでしょう。台湾に来て、台湾人の前でうっかり変なことを言ったら、
 「あの先生は台湾に来たくせに何も知らない、、、。やっぱり日本人は台湾人の友達じゃない。」
 ということになりかねません。台中が台湾の西にあるか東にあるか知らなくても笑いを取るだけで済みますが、台湾人の微妙な部分について知らなかったら、教師としての信頼を一気に失ってしまうこともあるかもしれません。
 台湾の国内事情、国際事情は複雑です。台湾で教えようと思ったら最低限の台湾についての知識を入れておくことを強くお勧めします。ここでは簡単に台湾の歴史、言語事情、中国大陸との関係について述べたいと思います。

 台湾の歴史
 台湾全域ははもともと、マレー・ポリネシア系の原住民の住む島でした。(ちなみに「原住民」という言葉はここ台湾では差別用語ではなく、福建省系とか、客家系とかと同じようにルーツを表す言葉として使われています。)そこに、17世紀のころから大陸からの移民が相次ぎ、オランダ東インド会社の領地になったり、明の復興のために立ち上がった鄭成功の根拠地になったり、いろいろな変遷を経て、清国の一部となります。1894年の日清戦争の結果、台湾は日本に割譲され日本の植民地となり、台湾では「日據時代」と呼ばれる時代を迎えます。
 他民族を弾圧し、本国の経済のためだけに利用する植民地という制度は否定されて当然のものです。ただ日本の積極統治により、多くのインフラが整備され、産業も大きく振興し、現在の発展の基礎になりました。

 1945年に日本は敗戦し、ポツダム宣言により台湾は中華民国の国民党の支配下に入ることになります。やがて、蒋介石率いる中華民国国民党は毛沢東の共産党との内戦に敗れ、国民党が丸ごと台湾に渡ってきました。この時、国民党と共に台湾に渡ってきた人々を外省人と呼び、これに対してもともと台湾に住んでいた人々を本省人と呼びます。
 国民党政府は台湾の人々(本省人)に対し、弾圧政治をもって行い、2・28事件(1948年)では2万8千もの人が殺されたといいます。戒厳令が40年も続き、15%ほどの外省人が大多数の本省人を支配するという構造が続きました。

 韓国では日本が憎まれ、台湾では日本が懐かしがられるというのは、この辺がが大きな理由になっているようです。国民党の弾圧政治より日本時代のほうがまだ「まし」と感じたのでしょう。台湾のお年寄りの中にはずいぶん日本時代をよく言ってくれる方がいらっしゃいます。
 しかし、日本人として、わたしはこれを謙虚に受け止めなければならないと思います。やはり日本も同じように台湾を武器を持って弾圧し、占領した50年で何万という台湾人を殺しているのですから。

 こうして国民党政権は一党独裁体制を整え、台湾はいわゆる「開発独裁」の典型的な例として経済発展をとげてゆきます。
 戦後の冷戦構造化では台湾も西側陣営の一員でしたが、ニクソン訪中などでアメリカが中国(中華人民共和国)に接近したのに伴い、台湾は1971年に国連脱退。1972年には日本と国交断交。1979年にはアメリカとも国交断交してしまい、国際社会から孤立してしまいました。日本政府の公式見解も「中華民国」は存在していないことになっています。日本の地図に「中華民国」がないのはこうした理由によります。
 しかし、民間の交流はご存知の通り、日本とも、アメリカとも、かなり緊密に行われています。日本には台湾の「大使館」はないものの実質大使館の役割を果たしている「台北駐在経済文化代表処」があり、「名より実を取る」交流は現在まで深く続いています。

 国内外の民主化への圧力により、1987年に政府は今まで40年間も国民を縛りつづけていた戒厳令を解除しました。さらに、本省人の李登輝が総統に就任し、台湾の民主化は加速的に実現しています。
 1996年には初めて直接選挙による総統(大統領に相当)選挙が行われ、2000年の総統選挙ではつい20年前には非合法政党だった民進党(民主進歩党)の陳水扁が総統に就任しました。中華圏では史上初めて、民主的な選挙による「血の流れない」政権移行が行われ、台湾の民主化は一応の完成をみたといえるでしょう。

 台湾と中国大陸
 現在台湾は「中華民国」が統治し、中国大陸は「中華人民共和国」が統治しています。「中華人民共和国」はもちろん台湾の領有権を主張していますし、内戦に破れて50年が経った今でも中華民国も、建前上「中国は全部俺のモンだ」ということを主張しています。しかし、現実には、経済規模という面からみると台湾はすでに大陸中国を大きく引き離しており、むしろ大陸の領土はいらないから独立した「台湾共和国」になりたいという動きがあります。しかし、統一を悲願とする大陸中国がこれを許すはずもなく、台湾が独立を強行したら、武力行使も辞さないという態度を取っていて、台湾は「中国は全部俺のモンだ」という虚構の看板を外すことができずにいます。
 ドイツが統一したときに、台湾人に「台湾も早く平和に統一したらいいですね」と言う無神経な日本人がよくいたそうですが、台湾人の中には統一を望んでいない人も多いということ覚えておいたほうがいいでしょう。

 このように政治的にはずいぶん溝が深い台湾と中国大陸ですが、民間の話になると話はずいぶん変わってきます。台湾の人はよく中国大陸に旅行に行きますし、中国への投資のかなりの部分は台湾企業が行っています。日本に中国製品が多く輸入されているように、台湾にも多くの中国製品が輸入されています。
 日本での報道を見て、台湾では今にも戦争が起こりそうだという印象を受けている人もいるかもしれませんが、ここ現地ではそんなに緊張感があるわけではありません。

 台湾の言語事情
 台湾の言語事情は日本のように単純ではありません。九州ほどの面積のこの台湾島にはいくつもの言語が存在しています。
 まず、全体の7割以上の福建系住民は台湾語(「ホーロー語、福建語、ビン南語」とほぼ同じ)という中国語の方言を母語としています。ただ、中国語の方言といっても北京語とは違った音韻体系、文法をもっており、北京語とは互いに全く通じません。また、この台湾語は文字(漢字)にして表すことはほとんどなく、もっぱら日常の会話言語として使われています。
 次に1割強を占める戦後台湾に渡ってきた外省人の母語は基本的に北京語です。台湾では「國語」と呼ばれていますが、大陸の「普通語」、狭義の「中国語」、「北京語」とほぼ同じ物です。台湾の公用語はこの「國語」になっています。
 さらに1割ほどの客家系住民の母語は客家語で、その他に原住民の言語などもあります。

母語はこのようにさまざまですが、教育は基本的に「國語」で行われるため、戦後の教育を受けた人はほとんど「國語」ができます。そのため、国民の大半がバイリンガル(「國語」と台湾語、「國語」と客家語など)というかなり特殊な言語社会になっています。台湾はこのように多言語社会であるため、外国語の学習に対しての順応力は高いと言えるかもしれません。

民主化される前までは公共の場での台湾語の使用は厳しく制限されていましたが、現在では政治家が台湾語で講演したり、台湾語で放送されるニュースもあったりして、台湾語の市民権は復活しています。むしろ、台湾語ができなければ就職のときに不利になったりするそうです。しかし、かといって「國語」が日常使われなくなりそうかというと、そういうわけではありません。お年寄りの世代は日常生活でたいてい台湾語を使うようですが、若者の世代の間ではほとんど「國語」を使って会話しているようです。特に台北のほうではその傾向が強く、本省人であっても若い年代は台湾語があまりわからない人も多くなってきています。

 表記は大陸の中国、シンガポールが簡体字を使っているのに対し、台湾や香港では伝統的な繁体字の漢字を使用しています。日本でいう戦前使っていた「旧字体」と同じものです。たとえば「国民小学校」は「國民小學校」となります。
 ただ、やっぱり書くのが大変なので、ノートに書いたりする時はよく簡体字を使っているようです。(大陸のものとはちょっと違うこともありますが。)「的」の代わりに日本語の「の」を使うこともよく見ます。
 また、大陸では漢字の発音を示すものとして、アルファベットのピンイン(併音)を使っていますが、台湾では伝統的なチュウイン(注音)を使っています。

−−−−−−−−−−−−
なかむら なおたか

Naotaka Nakamura
http://www2.odn.ne.jp/kyouannohiroba1/ 
  「教案の広場」 (みんなの日本語の教案を公開しています)