下記の「日本語教師入門」でも説明しているいわゆる「420時間」について。
昭和60年に文化庁が外国人受け入れに対応するため、日本語教師養成機関の指針を作りました。この時に標準的なカリキュラムととして「420時間のカリキュラム」を示しました。
その後日本語学科の卒業生も増えたこともあって、平成12年に新たな指針を作成し、昭和60年420時間の規定を廃止しました。
ところが、唯一の日本語教育機関の審査機関である日振協が「420時間」を掲げ続けていたため、今日に至るまで「日振協の認定学校に入るためには420時間も有効」となっていました。
平成
29年4月入学生からは、文部省高等教育局学生・留学生課が、学校の審査をすることになります。(*
2016年6月公布予定の法律改正が遅れているため、実施時期が遅れる見込みです。2016年7月14日加筆)
従って、この「420時間」が問題となります。
420時養成講座は、監督官庁が存在せず、誰でも養成講座を主催できます。法的な根拠もない、文化庁が廃止した基準を利用し続けるのは、「資格商法」と言われてもしかたがありません。
日振協という「民間機関」が独占的に審査してきたのだから、お役所は文句を言えなかったのかもしれません。
しかし、今度は、お役所が審査します。
この時に、誰でも開設できる養成講座を、法務省や文科省など公の機関が「資格」とすることに対して、日本語オンラインは反対です。
そうは言っても長年日振協が、法務省及び養成講座とともに教師を生み出してきたのですから、その責任をとって、相当期間の猶予が必要だと考えます。また、日振協と法務省は、教員数について専門学校や各種学校の2倍必要な基準を採用しており、今まで養成講座の経営を支えてきました。
このおかしな関係も解消されるべきだと考えます。
このおかしな関係等により、日本語学校の教員に占める日本語学科卒業生は数%に過ぎず、魅力的な待遇の職場からほど遠い状態が続いています。
補助金もないのに教員数だけ倍で、かつ待遇が良くなるわけがありません。
日振協は、「よりよい教育環境が必要」という大義名分により、規模の拡大を最小限に抑え、結果として弱小の日本語学校が増えました。
学校数が増えれば増えるほど日振協の収入が増えます。
このようなおかしな内規(増員は100名まで。1経営体が運営できる学校は3校まで等)は既に廃止されました。
この際、全ての基準を見直して、文科省のもと、新たな船出をすべきです。
日振協の負の遺産を引き継ぐべきではありません。
文責 秋田(2016年6月)